冬至 第六十五候  麋角解(さわしかつのおつる)

にぎやかなクリスマスシーズンを終え、今年もいよいよ押し詰まりました。

さて、先日三池理事(山口学芸大学・山口芸術短期大学 学長)からの「『ほんとうの暦』2023年版」のプレゼントを受け取られました沖縄科学技術大学の杉谷茂夫先生より、コメントと沖縄の暦に関する興味深いエッセイを頂戴いたしました。
ぜひ皆様ともシェアしたく、杉谷先生よりご承諾を頂戴した上で、こちらに転載させていただきます。

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「沖縄と旧暦」

沖縄には旧暦に基づく行事がたくさんあります。代表的な例では、旧正月・清明祭(シーミー)(カタカナ表記は方言名以下同じ)・旧盆でしょうか。
沖縄本島や離島では門中(ムンチュー)という父系制社会の権化のような制度がありますが、ムンチューの共同墓での行事ももちろん旧暦で執り行われます。一族の長となる本家の家長を筆頭として、分家が集まり1年を通して行事ごとを行うのです。
例えば、シーミーは先祖のお墓の前で一族が集まり、食事をとりながら供養をする行事です。また、2023年の旧正月は新暦の1月22日ですが、お正月の祝いとしてはこちらの暦の方が沖縄では重要です。22日の旧正月は日曜日なので、ゆっくりと正月を楽しむ人も多いことでしょう。
でも近年では都市部を中心に核家族化が進むと同時に、郷里の親族と距離を置く人たちも少しずつ増えてきている中で、新暦の正月で済ます人も増えてきました。墓つながりの話題では、墓を継ぐことを止めたり、墓を移設する理由などで墓を(多くはそのまま)放棄したり、取り壊したりする「墓じまい」は、しきたり上旧暦の閏年でしか行うことができません。もちろんいつ行ってもよいことなので
すが、御幣担ぎですね。
最近では2020年が閏月のあった年で、4月が2回ありました。この年に墓じまいを行った家は多かったと思います。別の行事も紹介しますと、浜下り(ハマウリ)は女の子の行事として、まだまだひな祭りよりも重要かもしれません。ハマウリは旧暦3月3日で、およそ大潮の日です。サンゴ礁の浅瀬で大きく潮が引き、潮干狩りに絶好なのです。ともあれ、ハマウリは海での禊の一つとして分類されるようですが、例えば、出雲大社近くの稲佐の浜での禊とは趣を異にしますね。

明治政府が太陽暦の採用を1872年に公布しました。それまでは江戸時代最後に使用していた天保暦の太陽太陰暦でした。その7年後に琉球王国が日本の沖縄県設置「琉球処分」(1879)により終焉しました。これより現在の新暦が沖縄でも使われることになるのですが、琉球では中国の清朝が使用していた時憲暦を元にした「撰日通書」を作成し、使用されていたようです(沖縄県立図館.2011)。
旧暦を使う歴史も沖縄では大きく違うようで興味深いものです。

2022年冬至 杉谷 茂夫
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なお「ほんとうの暦」2023年版につきましては、ウェブ上に掲載のPDF版をダウンロードの上ご利用いただくことも可能だと三池理事より補足いただきました。
ご希望の方は下記よりどうぞ。

ほんとうの暦PDF版:RealCalendar2023v5.pdf (y-gakugei.ac.jp)

杉谷先生、三池理事、この度は有難うございました。

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